FP法人㈱マネーデザインの 中村です。
 なんと台風6号が突然発生しました。沖縄近海にあった熱帯低気圧が台風に成長し、このおかげで湿った空気がどどんどん関東地方に供給されて大雨になっています。今日は温帯低気圧に変わり、台風としてはわずか半日あまりだと予報されますが、この湿った空気と上空に寒気が流れ込むため、大気の状態が不安定になり、首都圏では北部を中心に、午後もまた雷雲が発生する予報です。この状態は金曜日も続く予報に変わってしまいました。雨が長引きます。
 さて、本日もヘッジファンドについてお話していきます。
 興味深い彼らの行動の一つにテーマ作りがあります。例えば、昨日記しましたアジア通貨危機に代表するように、金融マーケットに大いに影響を与えるその時々のテーマを設定し、そのシナリオに沿った合理的な経済行動を行う、というものです。
 最近の動きの中では、QE3のテーパリング(緩和逓減)の中でお金のお流れが新興国からアメリカに逆流しました。今までインド、ブラジル、南アフリカ等の通貨、株式、債券に投資していたお金がアメリカにいったん戻ります。しかしそのままそこにとどまるほど、悠長なお金ではないのです。これが、アベノミクスで湧いている日本に流れ、また安全資産としての先進国の国債に流れた結果、主要国の国債金利が下落したのがその理由の一つだといわれています。
 そして最近またクローズアップされてきたのが、欧州のマイナス金利です。欧州全体を蔽っているデフレの波からの脱却を目的に、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、中央銀行に預けるお金にマイナス金利をつける、すなわち「市中銀行が中央銀行にお金を預けると損をしますよ」という状態を作り、それなら企業にお金を貸し出しますよ、という状態を作りだそうとしています。
 これは表面金利を下げるだけでなく、実質金利を下げる意図があるのですが、それなら日本やアメリカが行った量的緩和を行えば良い、というのが一般的な考えだと思います。しかしここでEUならではの問題が生じます。それは量的緩和をするときに、どこの国の国債を買い上げようか、ということです。ECBとしてはそこが大変難しいところで、その代替案として今回のマイナス金利が発動されたのではないか、というのが一般的な説明になっています。
 ですので、今回のECBのマイナス金利をテーマにヘッジファンドが何か仕掛けてくる可能性は皆無とはいえないかもしれません。
 また、この時にヘッジファンドのサポートとしての役回りが、投資銀行です。ゴールドマンサックスやモルガンスタンレー、メリルリンチといった投資銀行と呼ばれるファームは、ヘッジファンドが最高の顧客になります。彼らからの売買から得られる手数料が大きな収益を占めているのは紛れもない事実です。
 ですので、投資銀行内部のアナリストやストラテジストたちは、こぞってヘッジファンドの意に沿ったシナリオ作りに没頭することになります。これはあたかもファッション界で来年のテーマカラーは何にする、という業界全体のコンセンサスを得る作業に似て、投資銀行もその時流に沿ったテーマ探しに注力します。例えば、グローバルマクロからみて、どの国はどんなリスクを抱えていて、お金をどこにシフトすべきか、といった視点で作成していきます。
 
 このシナリオに沿って次のお金のシフト先が決まって来ます。ただ単純にお金を投入するだけでなく、ヘッジや裁定取引をしますから、何かを買えば何かを売る、ということになります。
 この視点から日本がヘッジファンドからどのように見られているか、ですが、アベノミクスの3本目の矢である、経済成長のための施策の内容がインパクトのあるものなのかで、短期的にはヘッジファンドが判断していくものと思われます。安倍首相は、法人税減税を強く指示をした、との記事が出ていましたが、これがヘッジファンドのおめがねにかなうのかが注目ポイントです。
 皆さん、よい一日をお過ごしください。