FP法人(株)マネーデザインの中村です。
今日は、昨日と打って変わって、東京地方は青空。気温も⒛度以上になるかもしれません。昨日はいつまでもすっきりと晴れず、気温も横ばいのまま、外にいるとコートを羽織っている方を何人も見かけました。しかしこの週末はお天気にも恵まれ、絶好の紅葉狩日和となりそうです。
私は、この週末、お茶会に参加し、秋真っ盛りの中、少しだけ落ち着いた時間を過ごす予定です。
日曜日から相続をキーワードに、Blogを更新しておりますが、今日は「遺留分」についてお話していきます。
「遺留分」という言葉自体、あまりなじみがない方も多いと思います。では、以下にわかりやすい例を挙げてみましょう。
すでにお父さまが亡くなられたお母様に二人の娘がいました。お母様は長女と一緒に生活し、介護などの面倒も見てくれて、とても世話を焼いてくれました。一方、次女は、家を出た後、あまり顔も見せず、お母さんの面倒もまったくと言ってよいほど見てくれません。
そこで、お母様は、自筆証書遺言書に、自分の財産すべてを長女に相続するよう書きました。前にも書きましたが、遺言書は亡くなる方の意思を表すもので、その内容は最大限尊重しなければなりません。
ここで質問です。次女は法定相続人でありますが、その遺言書の通り、長女がすべての遺産を相続できるのでしょうか?
答えは、「いいえ、できません」です。
これは、次女も遺産を相続して、今後の生活の足しにするつもりだったかもしれません。それが遺言書一つで破棄されることは、今後の人生設計に狂いが生じます。
民法1028条に遺留分の事が定められておりますが、兄弟姉妹を除く相続人に最低限の財産を相続できる「遺留分」を保証しております。言い換えますと、遺言でも自由に処分できない割合があるということです。その割合は、法定相続分に一定割合をかけたものになります。
以下が、遺留分の割合一覧です。
 

【遺留分の割合】

法定相続分の2分の1 (直系尊属のみが相続人の場合、3分の1)

<法定相続人の違いによる遺留分一覧>

法定相続人

各人

各人の遺留分

配偶者のみ

配偶者

2分の1

子どものみ

2分の1

配偶者と子2人

配偶者

4分の1

8分の1

配偶者と父母

配偶者

3分の1

父母

12分の1

配偶者と兄弟姉妹

配偶者

2分の1

兄弟姉妹

なし

父母のみ

父母

6分の1

兄弟姉妹のみ

兄弟姉妹

なし

 
ですので、前の例の場合、遺留分は法定相続1/2 の1/2 = 1/4 すなわち次女は最低でも相続財産の1/4を受け取ることが可能です。
ここで気を付けなくてはならないのは、兄弟姉妹のみの場合、遺留分はありません。
また、次女が遺留分を主張しても長女がそれに応じない場合、「遺留分減殺請求」の手続きをとって、自分の持ち分を主張することができます。これは意思表示だけでOKですが、具体的には、内容証明を長女に送付するのが、一番現実的なやり方です。遺留分減殺請求権は、時効があり、相続の開始と減殺すべき遺贈、贈与があったことを知ったときから1年間で消滅します。また、相続の開始と減殺すべき贈与や遺贈があったことを知らなくても10年間で消滅します。