FP法人㈱マネーデザインの 中村です。
 昨日の関東地方は曇りがちで、とても蒸し暑く感じました。今日の雨を先取り、湿度が高まった感じがしました。昨日夕方から夜にかけてまた関東北部で雷雲が発生し、宇都宮市周辺でにわか雨が降りました。今日の予報は曇りベースですが関東南部で時々弱い雨が降り、特に伊豆諸島で激しく降るようです。朝雨が降っていなくてもお守り代わりで折りたたみ傘をお持ち下さい。
 今日は相続の承認と放棄をお伝えしていきます。
 まず相続の承認は単純承認と限定承認の二つに分類できます。またそれら2つに相続放棄が加わります。
 大前提として、被相続人が死亡すると相続人は、被相続人に一身専属する権利・義務を除く一切の権利・義務を承継することになります。
 プラスの財産とマイナスの財産がそれぞれある場合に、プラスの財産の方が明らかにマイナスの財産より多い場合には単純に相続する(単純承認)のが普通だと思います。しかし、借金等マイナスの財産が明らかに多い場合やどの程度の負債があるのか不明な場合には、単純承認を行ってしまいますと、一切の資産とともに債務も背負うことになる訳です。このケースでは、負債が遺産より多い場合は相続人自身の財産で弁済しなくてはなりません。これでは、何のために相続をするのかわからなくなってしまいます。
 1.単純承認(民法920条)とは
 
 相続人が被相続人からの資産、負債をすべて無制限に承継することをいいます。そして相続があったことを知ってから3カ月(熟慮期間)以内に家庭裁判所に申述します。
 2.限定承認(民法922条)とは
 相続人が相続によって得た、財産の限度においてのみ、被相続人の債務及び遺贈を弁済することを留保して承認することをいいます。この場合、複数の相続人がいる場合は全員(相続放棄した者を除く)で行わなければならず、また相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に財産目録を作成し、家庭裁判所に限定承認申述書を提出しなければなりません。
 したがって、相続方法の選択は相続放棄を行うべきであった場合に、放棄をしなかったことで自分の固有財産まで失うといった不幸な事態を避ける為にも十分に調査し、判断を行う必要があるといえます。
 3.資産と負債のバランスが分からない時は熟慮期間の伸長を
 相続人となった人は、上に述べた通り『自己のために相続が開始したことを知ってから』3ヶ月の熟慮期間の間にどの相続方法を選択するのか決めなくてはなりませんが、相続財産の状態が複雑で調査に日数が必要な場合には、利害関係人又は検察官は家庭裁判所に対して熟慮期間の伸長を請求することができます。その間に、相続財産の調査を十分に行い、後になって思わぬ負債が出てくるという事態を防ぐことも可能となります。
 4.放棄(民法915条、938条、939条)
 相続が起きると、基本的には被相続人の権利義務は相続人に承継されるものですが、相続人は必ずしも相続を承認しなければならないというものではありません。相続人は相続権を自己の意思で自由に放棄することも可能です。なおその場合、はじめから相続がなかったものとしてみなされます。しかしいったん放棄したら、3カ月の熟慮期間中でも撤回できません。
 それでは皆さん、今日も良い一日をお過ごしください。