【老後シミュレーション】50歳、貯金4000万円で早期リタイアはできるか(2)

前回では、アメリカで注目を浴びているFIREという言葉をご紹介しました。

では50歳にして貯金が4,000万円あれば、会社を早期リタイアすることはできるのでしょうか?今回は、特に単身世帯の老後資金について、具体例を使って解説します。

50歳の独身は貯金4,000万持っているのか

50歳の平均的な単身者の貯蓄額は、いったいいくらぐらいなのでしょうか。

日本銀行が事務局となっている、金融広報中央委員会(知るぽると)が2019年にインターネットを通じておこなった「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50代の平均貯蓄額(金融資産を保有している単身世帯のみ)1,762万円です。貯蓄とは、貯金を含めた金融資産の総称です。したがって、預貯金のほかに、株式、債券、投資信託などの金融資産も含んでいます。

図1 

(出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査」)

しかし平均値で見ると、少数の高額資産を持つ世帯が平均金額を引き上げてしまうため、中央値を使うことより正しい数値になります。中央値とは、調査対象となった世帯を資産額順に並べたときに真ん中に位置する値を指します。

この調査によると、中央値は約711万円と公表されています。つまり、50歳代における全世帯の資産は、一般的には約711万円が預貯金残高という事になります。ご自身の貯蓄額と比べてみてどうでしょうか。この金額を、今後の貯蓄プランを立てるための指標の1つにしてみましょう。

そして、老後の生活資金の考え方についてもアンケートをしています。50歳台で老後資金の生活が心配だ、という割合が85.8% それほど心配でないという割合が14.2%という結果が出ています。

今後の少子高齢化がますます加速していく中で、公的年金がこのままの状態で維持できるかが大きな関心事となっています。そのような環境下で、去年、老後の生活資金として、公的年金とは別に、2,000万円を準備しておく必要がある、との報告があったわけです。

このことから、単身世帯の多くの方々は、4,000万円という多額の金融資産を所有していないのが実態と言えるでしょう。

50 歳で4000 万円保有していた場合リタイア可能か

では、仮に50歳時点で4,000万円手元に資金があった場合、収入がなくても生活可能なのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。

まず、生活費としていくらかかるのか、平均像を見てみましょう。総務省統計局が発表している単身世帯の50歳代平均支出は約20万円というデータがあります。

仮にこの数字で、生涯支出金額がいくらになるのか計算してみましょう。

50歳男性の平均余命は 32.89年 女性は38.49年(令和1年厚生労働省発表 簡易生命表から)となっています。

これをもとに計算しますと。

男性 33年×12か月×20万円=7,920万円

女性 38年×12か月×20万円=9,120万円

の生活費がそれぞれかかることとなります。

一方、収入の柱となる、公的年金ですが、こちらは国民年金だけか厚生年金も入っているかによってかなり異なってきます。

まず国民年金ですが、計算式はシンプルです。

現在20歳から国民年金に加入した場合、満額ですと780,100円がもらえます。50歳になっても払い続けるとした場合、60歳以降、年間この金額がもらえます。

次に厚生年金ですが、こちらは、在職時の等級によって変わります。

そこで、50歳時にタイトル通り4,000万円の金融資産を所有し、それ以外の変数を以下の条件とします。

就業開始時 22歳(大学卒業)

65歳時の 所有金融資産が1,000万円

その後、年3%の利回りで運用

50歳時点での退職時の年収が1,000万円

このケースでのシミュレーションでは、

65歳からの公的年金が男性でおおよそ16万円/月 女性でおおよそ17万円/月

∴不足額が男性4万円/月 女性3万円/月 

そうすると、簡易シミュレーションの結果、男性96歳 女性は100歳を超えるまで、預貯金が尽きない、という結果になりました。

(注:このシミュレーションは、あくまで仮定に基づいたものですので、個別の状況で著しく結果が異なります。詳細のライフプランをご希望の方は、弊社もしくはFPのご相談されることをお勧めいたします)

この前提は、すでに自宅を所有して、住居費がかからない(固定資産税、管理費、共益費はかかる)というケースで計算しています。

シミュレーションに使ったツールを以下でご紹介します。

三井住友銀行 年金シミュレーション

この結果を見て、私自身は結構驚きました。印象的には、決して無理な話ではないんだという事が分かったからです。

ただし、将来のことは誰にも予測不可能です。今回の新型コロナのような疫病がはやったり、その結果マクロ経済の様相が大きく変化することもあり得ます。

さらには、公的年金の支給自体が、法改正により増えることはないですが、減少する可能性もありえます。

今回のシミュレーションは、あくまで仮定上のことだという事を、強調しておきます。

資産運用の具体的な方法

では、上記の年3%の利回りは、不可能な目標なのでしょうか。

ご存じの通り、現在の銀行の定期預金金利は0.002% 仮に100万円1年間預けても利息が20円しかつかないといった状況が長く続いています。

この現実の前に、3%の利回りは、非現実的だと考える方が大多数だと思います。

しかし、手段を選択することで、3%の利回りを追求することは、決して難しいことではありません(確定利回りではありませんので、その前提で読み進めて下さい)。

では、より具体的にその方法を見ていきましょう。

50歳で退職すると考えた場合、資産運用も、今まで貯めたお金をいかに減らさないか、という事に力点を置く必要があります。

今まで貯めた分

今まで貯めたお金は、まず当面の生活費として、3か月分程度の生活費を流動資産として銀行の普通預貯金へ、さらに同程度の金額を安全性資金として個人向け国債などに入れます。

個人向け国債は、満期まで保有した場合、元本割れない、毎月発行される、1万円から購入可能、年率0.05%の最低金利は保証、そして必要な時は中途換金も1万円から引き出せる、などの商品特性があります。購入できる金融機関は、銀行窓口、ゆうちょ銀行、証券会社です。特にネット系の証券会社でも扱っており、場合によってはキャッシュバックキャンペーンなどもありますので、それを狙って購入するのも良いでしょう。

そして、残りを分散投資しながら、少しでも利率の高い商品を選択し、積極運用していきます。特に、退職してお金に働いてもらうことになるので、特に重視したいのが金融商品コストです。その点ETFを使いながら自分でポートフォリオを考え分散投資を行うか、最近注目を浴びているロボアドバイザーを使った海外ETF投資を行うことで、ほとんど手間がかからず分散投資をするか、といったことが考えられます。

また投資信託は、バランス型を取り入れることで、分散投資が可能となります。

そして、とても大切なことは、住宅ローンです。もし、50歳リタイア時点で、住宅ローンが完済されていれば、この早期リタイアメントの可能性が高まります。まだ返済中の場合、運用商品を取り崩して少しずつ繰り上げ返済に充てていきましょう。できるだけ早期に完済できれば、その後の大きな住宅資金を気にすることなく生活できます。

また、資産運用に興味があり、住宅ローンの借入金額より良いレートで運用できる自信のある方は、あえて繰り上げ返済の方法を期間短縮型にせず、返済額軽減型にし、軽くなった分を運用に回す、という方法も考えられます。

以上、50歳代の運用の仕方をお伝えしましたが、その根本の考え方は、まとまったお金を複利効果によって、資産を雪だるま式に増やすことに集中することです。言い換えると、お金にもはたらいてもらう、ということが大事なのです。

そして、資産運用の基本は、いつの時期も「長期」「分散」「積立」です。これは資産運用の王道ですので、常に心にとめておいてください。

執筆者 中村 伸一
AFP 宅地建物取引士 日商簿記検定2級 証券外務員1種 生命保険募集人(シニアライフコンサルタント) 変額保険販売資格 高齢者住まいアドバイザー