老後の生活費は月15万円で足りる?高齢者の平均生活費と年金収入

老後の生活費は、「10万円で十分だ」という話もあれば「20万円以上かかる」という話もありますが、実態はどのようになっているのでしょう。今回は、安定した老後生活を送るために必要な、生活費と年金収入について解説します。

老後にかかる生活費は一体いくらなのか

50歳代は、収入の面でも節目の時期です。今まで順調に増えてきた収入の伸び率が、役職定年や出向、リストラなどで減少に転じるタイミングかもしれません。

今までは、山登りに例えれば、山頂に向けて歩いてきたものが、資産の上では頂上について、今度は下りに差し掛かる時期なのは間違いありません。

世に出回っている書籍のほとんどが、資産運用の仕方やお金の貯め方といったちょうど山登りの世代に向けた内容のものがほとんどです。

資産は、いつまでも貯めるものではありません。使う目的があるからこそ貯めるのであって、それが人生に彩りを添えます。

それを分かりやすく図形として表したのが下の図です。

このように、一直線に資産が上がったり下がったりすることはないですが、概念図として載せてみました。

ほぼ60歳近くまで金融資産は積みあがっていきますが、ある程度のところをピークに残高は下がっていきます。

この図の形は、基本的にはどの方にも当てはまります。中には、使い切れないまでの資産を残し、お子様がいらっしゃればそれを相続として次世代に残すことにもなります。

上の図の中で、アキュムレーションとデキュムレーションという言葉があります。日本語に置き換えますと、「積立」と「取崩」という意味です。

大部分の方が、このデキュムレーションによって金融資産がゼロになる時期をできるだけ先延ばししようと様々な工夫をすると思います。

その方法はいくつかありますが、その代表的なものが、収入を増やすか、生活費を押さえる、のどちらかしかないことは、ご理解いただけるのではないでしょうか。

この時期は、収入は、もし働き続けることができるのであれば勤労収入、今まで積み立ててきた公的年金、アパートなどを所有しているのであれば不動産収入、それ以外の副収入などが考えられます。

では、セカンドライフの高齢期では実際いくらくらいの生活費が平均なのでしょうか。

代表的な夫婦二人とおひとりさまの例で見ていきましょう。前提として、自宅はマンション、戸建てなどの持ち家としたケースで考えます。

夫婦の暮らしの生活費はいくら

(出典:2019年総務省家計調査)

収入は、公的年金の支給金額が約21.6万円、確定拠出年金やNISAなどの金融資産からの取り崩しが約2.1万円です。

一方、消費に回る支出は約24万円です。前述の通り、この中にある住居は5.7% 金額にすると約1.4万円ですので、持ち家という前提で統計を取っています。

したがって、賃貸住宅にお住いの場合は、家賃分が加算されます。もし、8万円の家賃の賃貸住宅にお住まいならば、総支出額は約32万円/月です。

この図では不足分が3.3万円/月ですので、これに運用からの取り崩しを加えると約5.4万円/月を公的年金以外から得る必要があります。

一人暮らしの生活費はいくら

(出典:2019年総務省家計調査)

こちらが、単身者の家計収支の平均的な姿です。

収入は、公的年金が11.6万円、金融資産の取り崩しが約0.9万円となります。

一方、消費に回る支出は約14万円です。こちらも住居費は9.2% 金額にすると約1.3万円ですので、賃貸物件ですと、これに家賃金額が上乗せされます。

老後の生活費に占める住居費

このように、国の統計が持ち家を前提にしていますので、もし賃貸にお住いの場合は、若い時からの資産運用をきちんと勉強して、老後資金をしっかりと用意する準備が必要になります。

これらの表からわかることは、突き詰めると
  • アキュムレーション時代のお金の運用を住宅ローンとして住宅購入に充て、住宅を老後資産として使用するか
  • アキュミュレーション時代にきちんと資産運用を行い、老後資金として別枠で貯めたものをデキュムレーション時代に使うか
いずれかの選択という事になります。 しかし日本では、投資教育という概念がほとんどなく、どういう金融商品で運用すべきなのか、という事があまりにもおざなりにされてきたように思えてなりません。

まとめ

アメリカやイギリスでは当然のように使われている、「持続可能引き出し率」「定率引出し」「課税の繰り延べ」「最低引き出し率」といった言葉は、日本では全くと言っていい程、浸透していません。

資産運用の基礎である、「長期」「分散」「積立」という言葉は、まさにアキュムレーション時代の基本ですが、これからは、どうやって上手に取り崩すか、いわゆる「デキュムレーション時代の取り崩し方」を指南するファイナンシャルプランニングが必要となります。

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