病気で住宅ローン免除になるケースとは?  免除後の生活についても解説

団信に加入している人は、病気になると住宅ローンの支払いを免除されることがあります。免除されれば月々の負担が減るものの、治療費など別の費用が負担になることもあります。今回は、住宅ローンの支払いが免除になるケースと、その後のライフプランについて解説します。

住宅ローンを組んだ時の保険と病気の関係

住宅ローンを組むときは、団体信用生命保険(以下:団信)に加入するのが一般的です。例えば、借主が病気やけがで死亡したとき、所定の高度障害になった場合、余命6ヶ月と宣告された時など、団信加入の生命保険会社から銀行へ一括返済して、以降の住宅ローンの返済が免除されます。

団信は、銀行で住宅ローンを組む場合は金利の中に組み込まれているか、通常の金利に、団信の種類によって一定の金利が上乗せされる場合があります。

また、フラット35に関しては、団信に加入するか否かは、借入者の任意となっています。

さらに、がんや成人病などに罹患した場合、その種類によって以降の住宅ローンの支払いが免除されるケースがあります。

また、通常の住宅ローン団信には加入できない病気に借入時罹患している場合、ワイド団信という金利が上乗せされた団信に加入することで、住宅ローンを組むこともできます。

団信は種類も多く、また、同じ名称でも金融機関ごとに保険金支払事由や保険金額に細かい違いがあったり、また同じ団信でも負担するコストに違いがあったりなど、正確な比較が非常に難しいのが現状です。

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以下、団信についている具体的な病気に罹患したケースをそれぞれ見ていきましょう。

住宅ローンが免除になる病気の種類

団信に付帯する病気による特約は、通常の生命保険とほとんど同じです。

しかし、医療保険との違いは、がんなどに罹患した場合、団信は条件に当てはまった場合、以降の住宅ローンの支払いが免除されるだけであり、医療保険で支払われる、入院日額1万円や5,000円、差額ベッド代や食事など、高額医療費でカバーされない部分を支払うといった使い方はできませんので、注意が必要です。

以下の図は、代表的な団信に付帯する疾病保障の図です。

疾病保障種別

➀がんのケース

住宅ローンを組んだのち、がんに罹患した場合にその後の支払いが免除される団信特約が、上記図の中の右側5つです。

②糖尿病のケース

糖尿病は、日本では約370万人が罹患している病気です。65歳以上になりますとその割合は上昇し、高齢期では発症率も高くなっています。
住宅ローンでは、8大疾病保障 11疾病保障、そして全疾病保障に加入していると、糖尿病がカバーされます。
糖尿病になった場合、すべてのケースで住宅ローンが免除になるわけではありません。保険会社所定の状態(通常は被保険者本人の経験・能力に応じたいかなる業務にもまったく従事できない状態になり、医師の診断書等の資料に基づき保険会社が判断)になって住宅ローンが免除されます。

また、加入時に糖尿病だった場合、住宅ローンを組むことは無理なのでしょうか。

答えは、必ずしもそうではなく、様々な方法で住宅ローンに加入することはできます。

1:ワイド団信の利用

一般団信ではなくワイド団信を利用する方法です。

まず、ワイド団信の特徴とワイド団信と一般団信の違いを確認しておきましょう。

前に述べた通り、ワイド団信とは一般団信よりも加入時の健康状態の審査の基準が緩い団体信用生命保険です。

ワイド団信の告知内容は通常の団信の告知内容と同じで、費用負担が+@されるだけで、保障される内容(保険の内容)は原則として一般団信と同じです。

しかし、ワイド団信であれば糖尿病でも加入できることが確約されているわけではありません。加入できる症状も明確に開示されていないので、実際に申し込んでみないとわかりません。しかしワイド団信は、糖尿病患者の方の加入実績も豊富ですので、少なくとも通常の団信よりはかなり加入しやすい基準になっていると思われます。

ワイド団信を使うことのデメリットは、住宅ローンの金利が高くなる点です。
住宅ローンは、一般団体信用生命保険の保険料は基本的に銀行が負担してくれます。(正確には住宅ローンの利息の中に団信の保険料が含まれています。)

加入基準が緩いワイド団信は、一般団信に比べて+@の金利が上乗せされます。その金利は金融機関によって異なりますが、0.2~0.3%が上乗せされます。

2:団信に加入しなくても審査に通るフラット35を利用する

一般の銀行が提供している住宅ローンは団信への加入が必須です。

団信に加入しないで借りられるのが、住宅金融支援機構が提供している「フラット35」です。

フラット35は団信への加入が任意なので、健康状態に問題がない人でも団信に入らないで住宅ローンを借りることも可能です。

フラット35は、もともと団信に加入した場合に、保険料を年払いで住宅ローンの返済とは別に支払う必要がありましたが、2017年10月1日から保険料の直接負担が無くなり、フラット35の金利に含まれるようになりました。

現在のフラット35の仕組みでは「団信に加入しないでフラット35を借りる場合は、通常の金利から-0.2%」というルールになっています。
団信に加入しない場合、金利が下がることになります。

団信なしで住宅ローンを借りるときの注意点

フラット35を団信なしで借りる場合、万が一債務者が死亡した場合、残された遺族に住宅ローン返済義務が残ります。もし、万が一の場合、住宅ローンが返済できない場合も想定しておく必要があります。

3:告知書に加えて医師の診断書を提出する

団信の告知書に糖尿病の症状や治療歴を書いて提出するだけでなく、糖尿病の症状が安定している人は、各種の数値情報や、主治医に「症状が安定している旨」の診断書の記入を依頼して入手し、それを告知書と一緒に提出する方法もあります。

保険会社の方から診断書を出してほしいと言ってくることはまずないので、こちらから自主的に提出するのがお勧めです。少しでも有利な条件で借りるために、有効な手段ともいえます。

この方法は、糖尿病に限ったことではなく、他の病気で住宅ローンが組みにくい場合であっても、借主が積極的に、病状や治療状態が良いことをアピールできる診断書などを提出することで、団信の審査に加点となることがあります。

③うつ病のケース

近年、コロナ禍や社会の変化のスピードアップなどにより、適応障害などにかかる人が増えています。

そして就労不能になった場合、住宅ローンは免除されるのでしょうか。結論から言いますと、団信では免除されません。従って、万が一に備えて、就労不能保険など民間の生命保険に加入しておくと安心です。

また、加入時にうつ病状態ですと、住宅ローンを組むことはできないのでしょうか。こちらは、ワイド団信を使ったり、団信に加入しないフラット35を使うことで、住宅ローンを組むことが可能になる場合があります。

以上、疾病と住宅ローンの関係を整理しましたが、大事なことは、虚偽の告知をしてはならない、ということです。住宅ローンの団信も生命保険ですので、その加入時と同様に、告知事項に正確に答えないと告知義務違反となり、購入後そのことが明らかになりますと、保険金がおりないことにもなりかねません。

住宅ローンを組むときには、特に気を付けたいポイントです。

あきらめるのはまだ早い!

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