相続のリアル Part4

今回の「相続のリアル Part4」では、より具体的に不動産以外の預貯金、有価証券など財産調査や相続の承認・放棄などのケースを見ていきましょう。

財産調査-預貯金、有価証券等 家計用の口座など

これらの通帳や有価証券などは、同居のご家族であればどこに保管しているかなど、だいたい見当はつくと思いますが、田舎で離れて暮らしていたりすると、なかなかわからない場合もあります。さらに、最近はネット銀行、ネット証券、FX、仮想通貨などの口座を開設しているケースもあります。その場合、すべての口座を調べるのは、エンディングノートなどに記載しておかないと、相続人は全く知るすべがありません。

通帳や証書などが見つかればよいのですが、保管場所がわからないことも多いです。実際はひたすら家中を探すというのが実情だと思いますが、お財布のなかのキャッシュカード、公共料金の自動引き落としの口座、クレジットカードの引落口座などから辿っていくケースもあります。

株などの有価証券は、配当や株主総会のお知らせなどが郵送されてくるので所有しているものはわかるのですが、それだけでは取引している証券会社がわからないこともあります。郵便物など、手がかりを見つけて直接確認するしかない場合もあります。また、現在では株券は発行されず、証券保険振替機構で電子的に保管されています。
タンスの中から昔の株券が出てきた場合は、株券自体は無効でも株の所有は有効の可能性があります。

金融機関に口座の有無を確認する場合は、残高証明書の発行を依頼します。本人(行く人)証明と、被相続人が亡くなったことがわかり、確認をしている人がその人の相続人であることがわかるもの(戸籍謄本等)を持参して依頼します。金融機関によっては、実印や印鑑証明が必要となる場合もあります。

また被相続人が、銀行等金融機関に貸金庫を借りている場合があります。あらかじめ代理人を決めておける場合もあるようですが、そうでない場合、貸金庫の権利も相続財産となるため、相続人全員の立ち合いもしくは同意書が必要、または遺産分割協議で貸金庫の権利を引き継いだ人でないと金融機関は、貸金庫を開けてくれません。しかし現実問題、貸金庫のなかに相続財産やその資料があるかもしれず、それがわからないと分割協議もできないということがあります。そのケースでは、公証人に「事実実験」を依頼します。公証人は相続人の依頼により、相続財産の把握のため、被相続人名義の貸金庫を開扉しその内容物を点検する事実実験証書を作成することができます。公証人が公正証書として作成するので、後になって、ほかの相続人との紛争を起こさないための予防の役目も果たせます。

財産調査―自動車

動産、その他 不動産や預貯金等の金融資産がわかれば、一般的にはほぼ把握できたと言えます。動産は、書画骨董や宝飾品等貴金属、自動車などです。金銭的な価値が低いものは、だいたいは親族間の形見分けで済んでしまうことが多いですが、高価なものの場合は、財産目録にいれておきます。またゴルフ会員権や、貸付金などの債権も財産となります。

動産の中で高価なものは、自動車です。自動車の相続税評価は「一般動産」として評価を行います。

相続税の計算の基礎となる国税庁の財産評価基本通達には、自動車の相続税評価について特に算出規定はありません。そのため、自動車の場合、「一般動産」として相続評価額を計算します。一般動産の評価は、5万円を超える場合、そのひとつひとつに対して行われます。

動産とは建物や土地などの不動産を除いた全ての財産のことです。そのうち、たな卸商品、牛馬等、書画骨とう品、船舶以外のものが一般動産として扱われます。

一般動産の相続税評価の算定は、原則として相続開始時点で売買が成立する価格である時価を用います。

「一般動産」の相続税評価は、下記の2つの方法があります。

➀売買実例価格を基準とした計算

一般動産の相続税評価には時価が用いられますが、時価の算定は、通常実際に売買が行われている売買実例価格、もしくはその動産における精通者の所見を参考にして決定されます。売買実例価格は中古市場での価格とするのが一般的です。精通者の所見とは、その動産について詳しい者、例えば業者などが行う見積もりなどを指します。

②減価償却による計算

同様の動産が市場で流通していない場合など、売買実例価格を基準とすることが難しい場合には、特例として減価償却方式による計算も可能です。新品の価格を用い、被相続人死亡時までの間について償却相当額を算出し、その金額を控除して算出します。償却相当額は、国税庁の耐用年数省令の規定に基づき、残価率表による定率法にて計算します。

自動車の売買実例価額の実務上の調べ方

被相続人が使っていた自動車の売買実例価格を調べる場合、見つけやすいのは、オークションの落札結果や中古車として流通している価格です。

しかし、流通価格には販売者の利益が乗じられている売却価格になってしまい、正確な時価とはいえない場合もあります。そこで、実務上では、より実際の価値に近い、「年式や走行距離の近い同等車種の中古車」の買取価格を参考にするのが通例です。

買取価格は、インターネットなどでも検索することができます。中古車買い取り業者の査定価格も参考にできます。

精通者知見を参考にするケースとしては、実際に業者に依頼し入手した買取見積書が利用されています。また、相続後売却した場合には、その売却金額を参考にする場合もあります。

Part4では、預貯金や有価証券、自動車の評価方法を見てきました。Part5では、負の財産、借入金の考え方を見ていきましょう。