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GWも終わり、今日から普段通りの生活に戻られた方々も多いと思います。なかなか最初からフルスロットルで前進は難しいでしょうから、徐々にアクセルを踏んでいきましょう。
 さて、前回は、アベノミクスの要旨を再点検しましたが、今回は、第一の矢である「金融政策」について振り返ってみたいと思います。
 
 この金融政策の中で個別政策として、以下の4つが指摘されています。
1. 2%のインフレ目標
2. 無制限の量的緩和
3. 円高の是正
4. 日本銀行法改正
まず、安倍首相は、「デフレこそ諸悪の根源」と考え、まだ総選挙が行われなていない自民党総裁時に以下の経済政策の概要を発表しました。
1. インフレ目標を2%に設定し、日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みを作り、大胆な金融緩和を行う
2. 名目3%以上の経済成長を達成する
3. 財務省、日本銀行、および民間が参加する外債ファンドを創設し、外債購入の方策を検討する
これらの基本的な考え方は、安倍首相のブレーンであり、リフレ論者でイェール大学で教鞭をとっていた浜田宏一現内閣府参与によって提唱された理論に基づき確立されたものです。
 その後、安倍内閣は、金融政策によるリフレーションに反対であった前白川方明日銀総裁を、日銀法改正をもちらつかせることによって任期以前の退任に追い込み、前アジア開発銀行総裁で大規模な金融緩和を唱えた黒田東彦さんを日銀総裁に指名しました。黒田総裁は、総裁就任後の初の政策決定会合後の2013年4月4日の記者会見において、「量的・質的金融緩和」政策の概要を以下のとおり発表しました。
その要旨は、物価目標を2年程度を掛けて年間2パーセントとするため、具体的に以下の5点にわたる政策を実施するものでした。
1.日銀の市場操作目標を無担保コールレートからマネタリーベース(日銀券+日銀当座預金+貨幣[硬貨])へ変更
2.2年後の日銀資産を現在(158兆円)の2倍近い290兆円にまで膨らませる。
3.買入れ資産対象を従来の短期国債中心から、中期国債その他に拡大する(平均残存期間を3年弱から7年程度に延長する)。
4.2パーセント程度のインフレが安定的に実現するまで継続する。
5.銀行券ルールを一時停止する。
この発表により、当日の日経平均は始値12,188円が終値12,634円と実に446円の上昇となりました(黒田バズーカ砲と呼ばれた発表でした)。
この発表の効果は端的に表れ、特に消費者物価指数(CPI)は、2013年6月から2014年3月まで10ヶ月間対前年同月比でプラスとなっています。
201301 -0.3
201302 -0.7
201303 -0.9
201304 -0.7
201305 -0.3
201306 0.2
201307 0.7
201308 0.9
201309 1.1
201310 1.1
201311 1.5
201312 1.6
201401 1.4
201402 1.5
201403 1.6
(出典、総務省統計局 消費者物価指数 前年同月比)
あらためて数字を見てみますと、世の中デフレからインフレへ舵が切られた事が良く分かるのではないでしょうか。
次回は、以上の事を踏まえ、より私たちの生活に具体的にどのような影響があるか、検証していきたいと思います。