FP法人㈱マネーデザインの 中村です。
 週末土曜日曜と気持ちの良い晴天でしたね。ここ3週続けて土日とも良い天気が続いているらしいです。今度の週末も首都圏の予報では晴れ、梅雨入り前の晴れを有効に使いたいです。
 さて、前回からシニア世代の海外ロングステイを考えるとして、連載が始まりました。
 シニア世代のセカンドライフの一つとして、移住ではなく1年のうちに数カ月海外の物価の安い国で暮らす海外ロングステイがここ数年脚光を浴びています。皆さんもどこかでお聞きになったことがあるかもしれません。
 最近の円安で以前に比べ、その優位性が少し薄れてきた感は否めませんが、シニア世代のセカンドライフの過ごし方として少しチャレンジする、新たな生き方も素敵ではないかな、と思っています。
 
 しかし、海外生活ですから色々な面で不安が出てくるのも当然の事。それをしっかり解決しながら、ご夫婦でセカンドライフを楽しむのが最適だと考えます。
 第三回目は、海外ロングステイをするにあたって、具体的に注意すべき点の中でも税金に関して述べていきます。
 
 個人のロングステイヤーで論点となりやすい税金は所得税、住民税、相続税、贈与税です。また、日本に不動産、自動車を所持する場合、固定資産と自動車税はかかります。
 その中でまず日本の所得税についてお話していきます。日本の所得税法は、納税義務者を「居住者」と「非居住者」に区分して課税しています。税務申告において居住者と非居住者の大きな違いは、居住者は国内源泉所得(日本国内で得た所得)と国外源泉所得(日本国外で得た所得)の両方全てを申告納税する義務がありますが、非居住者は国内源泉所得(日本国内で得た所得)のみ日本で納税義務があるといことです。
 なお、基本的に、一個人が2カ国で同時に居住者になることはありませんが、各国の税制と日本の税制とは異なりますので、場合によっては2カ国で同時に居住者と認定される恐れもあります。もしこのように二重居住者に認定された場合でも、両国間で租税条約が締結されていれば、その規定に基づき、基本的には OECD 基準により、何れか一の国の居住者と判定されることになります。実際日本は多くの国と租税条約を締結しています。
 ロングステイヤ―は、日本の「非居住者」になるケースが多いですが、その場合、日本国内において生じた所得に限り課税されます。例えば国内で保有する不動産の賃貸収入などが課税対象です。源泉徴収だけで納税終了しないケースは、ご自身または納税管理人による確定申告(原則2月15日から3月15日まで)と納税が必要です。確定申告だけでなく、納税も忘れない様に注意が必要です。
 次にロングステイヤ―と年金の関係を見て行きましょう。生活資金となるであろう年金に対する課税については、日本とロングステイ先の国との租税条約を考慮する必要があります。通常、居住地国でのみ課税されることと規定されているケースが多いですが、タイなど国によっては退職年金条項がない場合もあります。その場合、さらにその他所得条項の有無を検討する必要があります。この辺りは専門知識が必要になりますので、より詳細をお知りになりたい場合は、専門家である税理士のアドバイスがあると安心です。
 また日本で発生する銀行預金からの利子所得、株式等の配当所得及び譲渡所得等については、居住者と同様に、源泉分離課税が適用できます。
 次回はもう少し税金の事についてお話していきます。